クラウド経由でのデータ共有は「技術提供」に該当するか?
輸出安全管理体制の構築近年、クラウドストレージやオンライン共有ツールを使ったデータのやり取りが、企業や大学の現場で日常的に行われています。しかし、このようなデジタル情報の取り扱いにも、外為法に基づく輸出管理が適用されるケースが相当程度存在することをご存知でしょうか。 今回は、クラウド経由での技術・情報共有が「技術の提供」として規制対象になるのかどうかについて、ご説明いたします。 データを「国外に保存・アクセス」...
技術の提供~実務上の注意点~
輸出安全管理体制の構築輸出管理の現場で誤解されやすく、かつ違反リスクが高い論点が、技術提供に関する取扱いです。とりわけ、研究開発型の中小企業や大学・研究機関では、外国人との共同研究や技術指導、交流などが日常的に行われており、知らず知らずのうちに法令違反を犯してしまうリスクが潜んでいます。 今回は、「技術の提供」とは何か、そしてどのように規制されているのかを整理します。 「技術の提供」とは何か、輸出管理の対象は「...
各取引類型における許可対象行為と例外規定
輸出安全管理体制の構築外為法に基づく輸出管理では、「貨物の輸出」、「技術の提供」の行為そのものが規制対象ですが、具体的にどのような場面で許可が必要になるかは、取引の類型によって異なります。また、一定の条件を満たす場合には、「許可不要」となる例外規定も存在します。 本稿では、見落としやすい取引類型と許可要否の判断のポイントを整理し、実務で注意すべき点をご案内します。 「取引の類型」とは何か? 輸出管理の実務では...
外為法における「輸出許可制度」の全体像~リスト規制とキャッチオール規制の基本~
輸出安全管理体制の構築外為法に基づく輸出管理にとは、国家の安全を脅かすおそれのある貨物や技術が、無許可で海外に流出しないようにするための制度であり、日本企業・大学・研究機関を含むすべての「居住者」に適用されます。 本稿では、リスト規制とキャッチオール規制という2つの柱を中心に、輸出許可制度の構造の大枠をご説明いたします。 許可が必要な輸出とは? 輸出許可制度では、「経済産業大臣の許可」が必要となるケースが定め...
安全保障上のリスク~違反事例に学ぶ~
輸出安全管理体制の構築外為法に基づく安全保障輸出管理は、単なる形式的な手続きではなく、国家の安全と企業の存続に直結する重大な制度です。この対応を怠った場合、仮に違反の意図がなかったとしても、重いペナルティを受ける可能性があります。 今回は、実際の違反事例をもとに、企業や大学が直面しうるリスクと損失の大きさ等をご紹介します。 違反が発覚した際の主な法的リスク 外為法に違反した場合、以下のような法的措置が科される...