コラム |通関士資格所有の輸出管理・税関事後調査に強い弁護士

第三国を経由した技術提供はどう扱われる?「間接的輸出」と外為法の適用範囲

グローバル化が進む現在、企業や大学が技術を提供する相手は、日本国内にとどまらず、複数国にまたがる関係者・子会社・共同研究機関に広がっています。中でも注意が必要なのが、「第三国を経由した技術の提供」です。 本稿では、外為法において第三国経由の技術提供がどのように規制されるか、また、企業・研究機関が取るべき対応をご紹介します。 第三国経由の提供が規制対象となる背景 外為法では、「技術提供」や...

クラウド経由での技術提供と輸出管理~リモート時代の見落としやすいリスクとは~

コロナ禍を契機に、リモートワークやクラウド共有が急速に浸透しました。そのため、研究データや技術文書のやりとりをオンラインで行うことは今や当たり前ですが、その一方で、クラウド経由での情報共有が「技術の提供」として外為法の規制対象になるという認識は、未だ十分に広がっていません。 今回は、クラウドやオンラインツールを介したデータの共有が輸出管理においてどのように取り扱われるのか、また、実務でどのような...

外国人研究者への技術提供は「みなし輸出」に該当するか?大学・研究機関の実務対応

近年、大学や研究機関における国際的な共同研究・留学生の受入れは当たり前であり、多くの研究現場では外国人研究者と先端技術を共有する機会が増えています。しかし、このような行為が外為法上の「みなし輸出」に該当する可能性があることは、意外と認識されていない、又は認識はされていても重要視されていないのが実情です。 元々の「みなし輸出」の適用対象になる行為とは? 前回も触れたように、元々の「みなし輸出...

みなし輸出の概念と改正の本質

「みなし輸出」とは、簡単に言うと、外国に貨物を物理的に輸出するのではなく、日本国内で外国人に技術を提供する行為を、実質的に「輸出」と見なして規制する制度です。 2022年には、この「みなし輸出」制度に対して大幅な改正が行われました。 各企業や大学・研究機関にとっては改正への対応は非常に重要となります。 そもそも「みなし輸出」とは? 外為法では、技術提供に関する輸出規制の一環として、以下...

該非判定書の作成方法と保存義務 ― 形式に加えて『実質』も問われる

外為法に基づく輸出管理では、貨物や技術がリスト規制に「該当」または「非該当」かを判断するために行う「該非判定」が全ての出発点です。そして、その判断の記録として作成する必要があるのが「該非判定書」です。 該非判定書は、税関やからの照会や経済産業省による立入検査等の際に提出を求められることもあり、自社における輸出管理の信頼性を裏付ける重要資料です。 今回は、実務で使える該非判定書の作成方法と保存義...