該非判定結果の保存義務・社内管理体制の整備ポイント
輸出安全管理体制の構築外為法に基づく輸出管理は、単に「判定を行うこと」で完結するものではありません。
その判定結果をどのように記録・保存し、再現できる状態にしておくかも同様に重要です。
本日は、該非判定結果の保存義務と社内体制整備の要点を整理します。
該非判定記録の法的根拠
企業には「該非判定を行った証拠を一定期間保存する義務」が課されており、少なくとも5年間の保存を推奨しており、許可案件の場合には許可書・該非判定書・用途確認記録・輸出実績書等の関連資料をセットで保存することが求められます。
これは、後日の行政調査において、合理的な判断を行ったことを説明するための根拠資料となるためです。
保存すべき主な記録と内容
実務的には、以下のような文書を体系的に保存しておくことが必要です。
| 区分 | 保存対象書類 | 主な内容 |
| 判定関連 | 該非判定書、性能照合表 | 項・号の照合結果、判定理由、条文引用 |
| 顧客確認 | 用途確認書、質問票、顧客ヒアリング記録 | 需要者・用途の確認結果、日付、担当者名 |
| 許可関連 | 許可書、申請書控え | 許可番号、許可日、対象品目 |
| 取引関連 | 契約書、注文書、インボイス | 相手先、製品仕様、出荷日、数量 |
| 教育・監査 | 社内研修記録、内部監査報告書 | 実施日、対象部署、改善指摘内容 |
これらをバラバラに保管してしまうと、監査時に説明がつかなくなるため、案件ごと・製品ごとに一元管理する仕組みが必要です。
電子保存・システム管理の推奨
現在は、紙ベースではなく電子化による保存が主流です。
電子管理を導入する場合、特に以下の点に注意が必要です。
①保存期間中に改ざん防止・アクセス制限ができる仕組みを採用
②検索機能(製品名・判定日・担当者名など)を備える
③バックアップを定期的に実施し、サーバートラブルに備える
④海外サーバー利用時は、技術データ輸出扱いにならないよう注意
中小企業の場合、ExcelやPDFを用いたフォルダ管理から始めても構いませんが、「いつ・誰が・どの根拠で判定したか」を追跡できる形式を維持することが不可欠です。
弁護士としての視点 ― 「保存」は防御と信頼の証
弁護士の立場から見ると、該非判定記録の保存は、法的責任を回避するための『最後の防御線』です。
行政調査や監査の際、企業が提出を求められるのは「判定のプロセスと記録」です。
したがって、以下のような観点で保存体制を設計することを推奨します。
①法務部門が最終管理責任者となる体制を構築
②判定書の形式・項目・承認ルートを統一(テンプレート化)
③定期的に「保存状況点検日」を設定し、内部監査を実施
④管理台帳に、保存期間・責任者・削除予定日を明記
また、取引先や行政に対して「自社は輸出管理体制を整えている」と示すうえでも、判定記録の整備は有効なコンプライアンス証拠となります。
「保存」は単なる義務ではなく、企業の信頼を高める『説明責任の履行』でもあるのです。
弊事務所では、外為法に関する一般的なご相談にとどまらず、輸出管理の体制構築や外部監査等を幅広く取り扱っております。
少しでもご不安な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
この記事と関連するコラム
Warning: Trying to access array offset on false in /home/replegal/fefta-fa.com/public_html/wp-content/themes/export-duties/single-column.php on line 75
Warning: Attempt to read property "slug" on null in /home/replegal/fefta-fa.com/public_html/wp-content/themes/export-duties/single-column.php on line 75
是正措置の提案と再発防止策の提示~信頼回復に向けた実効的アプローチ
輸出事後調査対応輸出事後調査の結果、違反の可能性が示唆された場合、企業には「是正措置報告書」の提出や「再発防止策」の提示が求められることがあります。これは単なる形式的対応ではなく、企業のコンプライアンス体制の信頼性を回復・強化するための重要なステップです。 そこで本日は、是正措置と再発防止策を検討・策定する上でのポイントをご案内します。 是正措置とは何か? 是正措置とは、調査で認識された問題点について、...
【相談内容】 当社は、日本国内でアパレルブランドを展開している会社です。国内では10年以上にわたり同じブランド名で事業を行っており、日本での商標登録も済ませています。 このたび、中国および東南アジアへの進出を検討し、現地で商標調査を行ったところ、中国において、当社のブランド名と同一の商標が、当社とは全く関係のない現地企業によってすでに登録されていることが分かりました。しかも、文字だけで...
【相談内容】 当社は、電子部品メーカーのコンプライアンス室です。先日、輸出管理に関する社内監査を実施したところ、3年前に輸出した特定のセンサー製品について、本来であれば経済産業大臣の輸出許可が必要だったにもかかわらず、許可を取得しないまま輸出していたことが判明しました。 当時の記録を確認すると、該非判定の際に法令の読み方を誤り、規制対象品であるにもかかわらず「非該当」と判断していたようです...
【相談内容】 当社は、ギターやウクレレを製造・販売している楽器メーカーです。近年、海外からの注文が増えており、今後はアメリカやヨーロッパの代理店に向けて、当社製品を輸出する予定です。 当社のギターには、指板(フィンガーボード)やボディの一部に「ローズウッド(紫檀)」と呼ばれる木材を使用しているものがあります。以前、ニュースで「ローズウッドがワシントン条約で規制対象になった」と聞いたこと...
輸出管理の体制を整備しても、それが現場で正しく運用されていなければ、実効性はゼロです。とりわけ外為法における該非判定やみなし輸出の判断は、第一には現場の担当者が日々の業務の中で適切に対応できるかどうかにかかっています。 今回は、輸出管理における社内教育・研修の重要性と、実務に即した研修プログラムの設計方法をご紹介いたします。 なぜ社内教育が重要なのか? 外為法違反の多くは、「制度を知らな...

東京大学法学部及び東京大学法科大学院卒。弁護士登録後(東京弁護士会所属)、都内法律事務所で執務。都内法律事務所での執務時に、税関対応・輸出入トラブルをはじめとした通関・貿易に関する問題、労働問題等を中心に100件以上の案件に携わる。その中で、通関・貿易に関する問題についてより広く網羅的な知識を取得し、より高品質なリーガルサービスを提供したいと考え、通関・貿易関係の国家資格である通関士の資格を取得。