コラム |通関士資格所有の輸出管理・税関事後調査に強い弁護士

技術輸出とデータ管理の実務 ― 役務提供の管理

従来の輸出管理といえば『物品の輸出』が中心でした。 しかし現代においては、クラウド共有やリモートワーク、外国人研究者との協働などにより『技術そのもの』が国外へ流出するリスクが急増しています。外為法はこうした『技術そのものの提供』も規制対象としていますが、企業現場ではまだ十分に理解されていない部分も多いのが実情です。 そこで本日は、無形技術輸出の定義とリスク、企業が講じるべき実務上の対応...

コンプライアンス体制 ― 実効性ある輸出管理の構築

外為法に基づく輸出管理を適切に行うためには、単発の判断や担当者の経験則に頼るのではなく、組織としての内部統制システムを整備することが不可欠です。 経済産業省も「輸出管理内部規程」の整備を推奨しており、企業規模を問わず実効性のある体制を持つことが求められています。 本日は、輸出管理における内部統制の要素と、企業が実務上整備すべき具体的なポイントをご紹介します。 内部統制の目的 まず、...

大学・研究機関における輸出管理の留意点 ― 学問の自由と安全保障の両立

輸出管理は企業だけの問題ではありません。 大学や研究機関においても、最先端の研究開発や外国人研究者との共同研究の場面では、常に「外為法」が適用される可能性を留意する必要があります。 特に無形の技術提供が輸出とみなされる点は、研究者にとって直感的に理解しにくいことも多く、違反リスクを高めてしまう一つの要因となっています。 本日は、大学・研究機関における輸出管理の特徴と、学問の自由を...

輸出管理違反の制裁と企業のリスク ― 信用失墜がもたらす深刻な影響

外為法違反の嫌疑(被疑)事件の当事者となった場合、「知らなかった」、「故意ではなかった」と主張するだけでは済まされません。 法人に対しては高額な罰金、個人に対しては懲役刑が科される可能性があるほか、行政処分として輸出禁止命令が下されることもあります。さらに深刻なのは、企業の信用失墜によって取引停止や株主からの訴えにつながるリスクです。 本日は、外為法違反に対する制裁の種類と、企業が直面...

キャッチオール規制と企業の実務対応 ― 「疑わしいときは止まる」の原則

外為法による輸出管理の中でも、企業にとって最も実務上の負担が大きいのが「キャッチオール規制」です。 これは、リスト規制品目に該当しない製品であっても、輸出先や最終用途によっては規制対象となる制度です。平たく言えば「品目に載っていなくても危険性が存在するなら止める」という考え方であり、企業は常にエンドユーザーや用途の確認を怠らない体制を構築する必要があります。 本日は、キャッチオール規制の仕...