キャッチオール規制とは ― リスト外でも規制される理由 |通関士資格所有の輸出管理・税関事後調査に強い弁護士

キャッチオール規制とは ― リスト外でも規制される理由

「リストに載っていないから安全だ」と考えてしまうのは、輸出管理で最も多い初歩的な誤解のひとつです。
当然ではありますが、リストに掲載されていない製品や技術であっても、一定の条件を満たす場合には経済産業大臣の許可が必要となります。
これが「キャッチオール規制(catch-all control)」です。
ここでは、その法的仕組みと実務上の対応ポイントを整理します。 

キャッチオール規制の目的

キャッチオール規制は、リスト規制では捕捉しきれない貨物・技術の軍事転用リスクに対応するための仕組みです。
リストは原則として「高性能な物品・技術」を基準に構成されていますが、国際的には「性能が低くても兵器開発に使われる」ケースが少なくありません。
そのため、「リストに該当しない=安全」とは限らないという前提のもと、輸出管理の補完的制度としてキャッチオール規制が設けられています。 

法的根拠と分類

この規制は、目的によって次の二つに分類されます。

①大量破壊兵器(WMD)キャッチオール規制
核兵器、化学兵器、生物兵器、ミサイル開発などに関連する用途を防止するもの。

②通常兵器キャッチオール規制
通常兵器(戦車・戦闘機・銃火器など)への転用防止を目的とするもの。

このように、キャッチオール規制は「用途」や「需要者」を基準に適用される点が特徴です。 

企業が確認すべき3つの要素

キャッチオール規制では、輸出者が次の3要素を確認する義務を負います。

①用途確認(どの目的で使われるのか)
軍事・兵器関連の開発や製造に使用されるおそれがないか。

②需要者確認(誰が使用するのか)
外国ユーザーリスト掲載企業・団体、またはその関係先ではないか。明らかガイドラインの判定はどうか。

③経産省の「インフォーム」への対応
経産省から「許可を要する」と通知された場合は必ず許可申請が必要。 

「知っていた」「知ることができた」も違反

外為法上のキャッチオール違反は、単に「知っていた」場合だけでなく、「知ることができた(容易に認識できた)」場合にも成立し得ます。
例えば、取引先から「軍需目的ではないが、関連企業が国防省系列である」との情報を得ていたにもかかわらず、深掘りせずに輸出した場合、結果的に違反とみなされる可能性があります。
このため、企業は「確認を行った証拠」を残すことが極めて重要です。

用途確認書、質問票、顧客ヒアリングメモなど、後から説明できる記録を整備しておくことが、法的リスク回避の第一歩となります。

弁護士としての視点「リスト外こそ危険」との認識の重要性

令和7年10月にキャッチオール規制の改正が行われ、従来の規制よりも厳しい規制となり厳格な取引審査が必要となりました。
法務部門としては、次のようなルールを社内規程に明記しておくことを推奨します。

①リスト非該当品であっても、用途・需要者確認を必ず実施する
②軍事関連ワード(兵器、軍用、航空防衛など)が出た場合は要注意
③判断困難な場合は、取引を中止、停止する

キャッチオール規制は「補完する制度」であり、リスト規制よりもむしろ判断が難しい側面を持ちます。
企業が自主的に調査・記録・相談を重ねることこそ、外為法遵守体制の中核であることを改めて認識することが重要です。

弊事務所では、外為法に関する一般的なご相談にとどまらず、輸出管理の体制構築や外部監査等を幅広く取り扱っております。
少しでもご不安な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

この記事の監修者

代表弁護士 有森 文昭弁護士 (東京弁護士会所属)

ARIMORI FUMIAKI

東京大学法学部及び東京大学法科大学院卒。弁護士登録後(東京弁護士会所属)、都内法律事務所で執務。都内法律事務所での執務時に、税関対応・輸出入トラブルをはじめとした通関・貿易に関する問題、労働問題等を中心に100件以上の案件に携わる。その中で、通関・貿易に関する問題についてより広く網羅的な知識を取得し、より高品質なリーガルサービスを提供したいと考え、通関・貿易関係の国家資格である通関士の資格を取得。

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