大学・研究機関における輸出管理体制の構築 |通関士資格所有の輸出管理・税関事後調査に強い弁護士

大学・研究機関における輸出管理体制の構築

近年、大学や研究機関に対しても、外為法に基づく安全保障輸出管理の強化が求められています。特に、外国人研究者の受入れや国際共同研究、研究過程におけるクラウド利用が進む中で、『学術研究と法令遵守の両立』は避けて通れない課題でしょう。
本日は、大学・研究機関における輸出管理体制の構築ポイントを、他の一般企業とは異なる実情を踏まえてご紹介いたします。

なぜ大学・研究機関が外為法の規制対象となるのか?

大学や公的研究機関も、日本国内の「居住者」に該当するため、当然に外為法の規制対象となります。特に次のような行為は、技術提供・みなし輸出として許可なく実行する場合には違反リスクがあるとされています。

  • ①外国人留学生・研究者に対する研究指導・技術教育
  • ②国際共同研究における機微技術の提供
  • ③クラウドを用いた研究データの共有
  • ④特注試薬・装置の海外研究機関への提供

これらは、「学術目的」「非営利活動」であっても、規制の適用除外とはなりませんので十分に注意が必要です。

大学・研究機関特有の課題

①研究者の自主性と輸出管理の両立
各教員が独自に研究を進める中で、組織的な統制が及びにくい
②外国人との交流が日常的
多国籍な研究チームや留学生の存在により、みなし輸出に該当するケースが発生する可能性が常に存在する
③学術的機微技術が多い
AI・量子・材料・バイオ等、安全保障に関係する最先端分野が多数存在する
④商取引と異なり「契約」が曖昧(存在しない場合も多い)
技術の流通が非形式的で、管理・記録が残りにくい

構築すべき輸出管理体制の主な要素

①学内輸出管理責任者の設置
研究推進本部・URA室・研究推進課などに責任者を配置し、体制運営の中核とする
②学内規程の整備
「研究に係る輸出管理規程」、「技術提供管理規程」などを整備し、研究室単位で徹底する
③外国人受入れ時のリスク評価
入学・雇用・受入れの時点で、出身国・研究分野・資金提供元等を確認
④教育・研修の定期実施
教職員・学生向けに、年1回以上の研修+研究分野別ガイドラインの提供

研究者と事務局の連携が鍵となります

制度だけを整えても、研究者の理解・協力がなければ実効性は生まれません。
そのためには、例えば、

  • ①教員向けハンドブックやQ&Aの作成
  • ②URA・研究支援担当者との定期意見交換
  • ③課題事例を共有する「研究倫理と安全保障」セミナーの実施

など、研究者と事務局の橋渡しとなる工夫が重要です。

輸出管理体制は、研究活動の制限ではなく、その自由を外部批判や誤解から守る手段でもあります。法令遵守と研究推進は両立可能です。その実現には、大学全体での理解と対話、制度と運用の橋渡しが欠かせません。

弊事務所では、組織における安全保障輸出管理体制の構築サポートや、日常的な該非判定のサポート、外部監査の実施サポート等、幅広くサポートを行っておりますので、ご関心がありましたらお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

代表弁護士 有森 文昭弁護士 (東京弁護士会所属)

ARIMORI FUMIAKI

東京大学法学部及び東京大学法科大学院卒。弁護士登録後(東京弁護士会所属)、都内法律事務所で執務。都内法律事務所での執務時に、税関対応・輸出入トラブルをはじめとした通関・貿易に関する問題、労働問題等を中心に100件以上の案件に携わる。その中で、通関・貿易に関する問題についてより広く網羅的な知識を取得し、より高品質なリーガルサービスを提供したいと考え、通関・貿易関係の国家資格である通関士の資格を取得。

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