輸出管理におけるリスク評価とは?自社の弱点を見える化する第一歩 |通関士資格所有の輸出管理・税関事後調査に強い弁護士

輸出管理におけるリスク評価とは?自社の弱点を見える化する第一歩

輸出管理の違反リスクは、大企業だけでなく中小企業や大学・研究機関にも等しく存在します。特に外為法違反は、「知らなかった」「うっかりやってしまった」で済まされず、組織全体の信頼を揺るがす問題に直結します。
では、自社(または自組織)のリスクをどのように把握し、どこから対応すればよいのでしょうか。今回は、輸出管理における『リスク評価』の意義と、その具体的な進め方をご紹介します。

なぜリスク評価が必要なのか?

外為法に違反する原因の多くは、「制度を知らなかった」、「管理が担当者任せの属人的だった」、「確認の仕組みがなかった」等といった内部管理の不備に由来するものです。
リスク評価においては、それらの潜在的な脆弱性を事前に”見える化”し、優先順位を付けて改善していくプロセスです。

評価の主な観点

輸出管理のリスク評価では、主に以下の6つの観点から現状を点検していくことになります。

①体制整備
輸出管理責任者が選任されているか?明文化された内部ルールは存在するか?
②該非判定・記録管理
製品・技術ごとに該非判定を行い、書面で残しているかどうか?
③技術提供・みなし輸出管理
外国人に技術を提供する際のチェック体制はあるかどうか?
④需要者・用途確認
海外取引先や再提供先の情報を十分に確認しているかどうか?
⑤教育訓練・周知
全社的に輸出管理の意識が浸透しているかどうか?年1回以上の研修はあるか?
⑥社内監査・見直し
内部監査や自己点検を定期的に行っているか?
⑦外部監査
社内監査にとどまらず、外部の有識者による監査などを経ているかどうか?

チェックリスト形式での運用が効果的です

実務では、上記の評価項目をチェックリスト形式に落とし込み、関係部署ごとに自己点検を行う方法が推奨されます。
チェック結果に応じて、例えば

「◎:問題なし/○:軽微な改善要/×:重大な問題」

などの評価を付け、改善優先順位を設定します。

評価後の対応

リスク評価は一度きりで終わるものではなく、改善→再評価→是正→教育というサイクル(いわゆるPDCA)を定着させることが重要です。
これにより、組織としての輸出管理体制の成熟度が高まり、違反リスクを低減できます。
また、定期的に外部の有識者の視点を導入することで、硬直化することを避けることも可能となります。

弊事務所では、組織における安全保障輸出管理体制の構築サポートや、日常的な該非判定のサポート、外部監査の実施サポート等、幅広くサポートを行っておりますので、ご関心がありましたらお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

代表弁護士 有森 文昭弁護士 (東京弁護士会所属)

ARIMORI FUMIAKI

東京大学法学部及び東京大学法科大学院卒。弁護士登録後(東京弁護士会所属)、都内法律事務所で執務。都内法律事務所での執務時に、税関対応・輸出入トラブルをはじめとした通関・貿易に関する問題、労働問題等を中心に100件以上の案件に携わる。その中で、通関・貿易に関する問題についてより広く網羅的な知識を取得し、より高品質なリーガルサービスを提供したいと考え、通関・貿易関係の国家資格である通関士の資格を取得。

この記事と関連するコラム


Warning: Trying to access array offset on false in /home/replegal/fefta-fa.com/public_html/wp-content/themes/export-duties/single-column.php on line 75

Warning: Attempt to read property "slug" on null in /home/replegal/fefta-fa.com/public_html/wp-content/themes/export-duties/single-column.php on line 75

法務部門の役割と弁護士のサポート ― 輸出管理体制を強化するために

輸出管理は営業部門や技術部門の課題と考えられがちですが、実際には法務部門が中心となり、組織横断的に関与すべきテーマです。 さらに、複雑化する国際環境や頻繁な法改正に対応するためには、外部弁護士のサポートを得ることも極めて有効です。 本日は、法務部門が果たすべき役割と、弁護士による支援のあり方についてご紹介します。 法務部門の役割 ①規制該非判定の支援 技術部門が判断に迷う場合...

内部調査のポイントと体制構築―事実確認とリスク把握のすすめ

輸出事後調査において、企業側がまず行うべきは『内部調査』です。税関(経済産業省)に提出する資料や説明内容の正確性を確保するには、社内での丁寧な事実確認と体制整備の構築が欠かせません。本日は、企業が行うべき内部調査の具体的な手順や、法的リスクを低減するための体制づくりの要点をご案内します。 内部調査の目的とは? 内部調査の目的は、主として次の3点にあります。 ①輸出に関する事実関係を正...

貨物別に見る規制品目の具体例と注意点その2~化学物質編~

化学物質や化学製品は、その用途によっては大量破壊兵器や化学兵器の開発に利用されるおそれがあるため、外為法による輸出規制の重要分野の一つとされています。 中小の化学メーカーや大学・研究機関が開発・取り扱う製品にも、規制対象となるものが多く含まれており、正確な該非判定の実施が不可欠です。 外為法における化学物質の規制枠組み リスト規制で対象となる大量破壊兵器の原材料や化学兵器の前駆体となる物...

木材・楽器・皮革製品…意外な規制対象と許可申請手続き

前回はワシントン条約(CITES)の全体像について解説しました。今回は、企業の実務担当者が特に見落としがちな「具体的な規制品目」と、必要な手続きについて掘り下げていきます。 「うちは動植物を扱っていないから関係ない」と思っているメーカーや商社の方こそ、要注意です。特に、木材を使用する家具や楽器メーカー、成分に天然由来物を使用する化粧品・製薬メーカーにとって、ワシントン条約は輸出管理上の大きな...

輸出管理におけるリスク評価とは?自社の弱点を見える化する第一歩

輸出管理の違反リスクは、大企業だけでなく中小企業や大学・研究機関にも等しく存在します。特に外為法違反は、「知らなかった」「うっかりやってしまった」で済まされず、組織全体の信頼を揺るがす問題に直結します。 では、自社(または自組織)のリスクをどのように把握し、どこから対応すればよいのでしょうか。今回は、輸出管理における『リスク評価』の意義と、その具体的な進め方をご紹介します。 なぜリスク評価...