クラウド・AI・先端技術研究と輸出管理
輸出安全管理体制の構築AI、量子、クラウド、バイオ、半導体等の「先端技術分野」における研究・開発活動は、日々安全保障上の重要性が高まっており、国際的にも輸出管理の重点対象とされております。
一方で、技術の形式が「データ」、「アルゴリズム」、「クラウド上のアクセス権」といった目に見えにくい形態に変化しているため、従来の制度や確認体制ではカバーしきれないグレーゾーンも増えています。
今回は、AIやクラウド等の先端分野において、外為法がどのように適用されるのか、そして研究現場・企業がどのように対応すべきかを整理してまいります。
クラウド上の技術提供はどのように処理すべきか?
クラウド共有は、利便性が高い一方で、技術が実質的に「国境を越える」可能性があるため、外為法の技術提供に該当する場合があります。
例えば、
- ①海外在住の研究者とクラウド経由で設計図・アルゴリズムを共有する
- ②外国人が国内クラウドにログインし、未発表の研究データを閲覧する
- ③ソースコードの一部をGitHubなどに公開し、外国籍ユーザーが利用可能な状態にする
これらはいずれも、「技術の提供」「みなし輸出」に該当する可能性があり、事前の該非判定やアクセス制限が必要です。
AIや機械学習モデルはどのように考えるべきか?
AI分野では、提供対象が「プログラムコード」、「学習済みモデル」、「アルゴリズム仕様書」、「トレーニングデータ」など多岐にわたります。
これらが外為法における「技術」に該当するかは微妙なところですが、基本的には該当する可能性が十分にあると把握しておくとよいでしょう。
特に、AIが兵器の制御、監視システム、暗号解析などに応用され得る分野では、外為法のリスト規制・キャッチオール規制の両方に抵触するリスクがあります。
クラウドやAIの発展は、国際競争力の源泉であると同時に、国家安全保障上の規制対象でもあります。外為法による規制は今後さらに厳格化が予想され、先端分野の研究者やスタートアップこそ、”自ら守る”体制づくりが求められます。
弊事務所では、組織における安全保障輸出管理体制の構築サポートや、日常的な該非判定のサポート、外部監査の実施サポート等、幅広くサポートを行っておりますので、ご関心がありましたらお気軽にお問い合わせください。
この記事と関連するコラム
Warning: Trying to access array offset on false in /home/replegal/fefta-fa.com/public_html/wp-content/themes/export-duties/single-column.php on line 75
Warning: Attempt to read property "slug" on null in /home/replegal/fefta-fa.com/public_html/wp-content/themes/export-duties/single-column.php on line 75
該非判定書の作成方法と保存義務 ― 形式に加えて『実質』も問われる
輸出安全管理体制の構築外為法に基づく輸出管理では、貨物や技術がリスト規制に「該当」または「非該当」かを判断するために行う「該非判定」が全ての出発点です。そして、その判断の記録として作成する必要があるのが「該非判定書」です。 該非判定書は、税関やからの照会や経済産業省による立入検査等の際に提出を求められることもあり、自社における輸出管理の信頼性を裏付ける重要資料です。 今回は、実務で使える該非判定書の作成方法と保存義...
キャッチオール規制と企業の実務対応 ― 「疑わしいときは止まる」の原則
輸出安全管理体制の構築外為法による輸出管理の中でも、企業にとって最も実務上の負担が大きいのが「キャッチオール規制」です。 これは、リスト規制品目に該当しない製品であっても、輸出先や最終用途によっては規制対象となる制度です。平たく言えば「品目に載っていなくても危険性が存在するなら止める」という考え方であり、企業は常にエンドユーザーや用途の確認を怠らない体制を構築する必要があります。 本日は、キャッチオール規制の仕...
「みなし輸出」とは、簡単に言うと、外国に貨物を物理的に輸出するのではなく、日本国内で外国人に技術を提供する行為を、実質的に「輸出」と見なして規制する制度です。 2022年には、この「みなし輸出」制度に対して大幅な改正が行われました。 各企業や大学・研究機関にとっては改正への対応は非常に重要となります。 そもそも「みなし輸出」とは? 外為法では、技術提供に関する輸出規制の一環として、以下...
仮相談者の相談事例 私は精密測定機器メーカーの貿易担当者です。 来月、ドイツで開催される展示会に当社の営業担当者が参加します。開発中の「新型センサーの試作品」を展示するため、担当者が飛行機の手荷物(ハンドキャリー)として持っていくと言っています。展示後は必ず日本に持ち帰る予定で、販売目的ではなく一時的な持ち出しです。 それでも通常の輸出と同じような許可手続は必要でしょうか。営業担当者...
輸出管理において、「技術や製品が何であるのか(該非判定)」と同じくらい重要なのが、「誰に」「何の目的で」提供するのかの確認です(いわゆる取引審査)。 これは外為法上、キャッチオール規制(用途・需要者規制)を踏まえた審査であり、リスト規制に該当しない物でも、許可が必要となる場合があります。 今回は、需要者・用途確認の具体的な実務方法と、チェックリストやテンプレートを活用した管理手法をご案内いたし...

東京大学法学部及び東京大学法科大学院卒。弁護士登録後(東京弁護士会所属)、都内法律事務所で執務。都内法律事務所での執務時に、税関対応・輸出入トラブルをはじめとした通関・貿易に関する問題、労働問題等を中心に100件以上の案件に携わる。その中で、通関・貿易に関する問題についてより広く網羅的な知識を取得し、より高品質なリーガルサービスを提供したいと考え、通関・貿易関係の国家資格である通関士の資格を取得。